【認知症基礎講座vol 10】認知症見当識障害のサポート方法とは?グループホームの取り組みを紹介
2023/10/28
認知症になると、自分自身や周りの人や物事を正しく理解できなくなる認知症見当識障害が起こります。この障害によって、街を歩いても帰る家がわからなくなる、物の名前が出てこなくなる、自分が誰かわからなくなるなどの症状が出ます。今回は、認知症見当識障害を抱えた高齢者が快適に生活できるためのサポート方法を、グループホームでの取り組みを紹介しながらお伝えします。
目次
認知症見当識障害とは?
認知症見当識障害とは、認知症の中核症状一つであり、自分自身や周囲の人や環境を正しく判断できない状態のことを言います。この症状は、日常生活に深刻な影響を与えることがあります。 例えば、認知症見当識障害のある方は、外出先で自分の住所や名前がわからなくなってしまうことがあったり、既に帰宅したのに家に帰っていないと勘違いして、行方不明になることがあります。また、特定の危険なものや状況を見分けることができず、事故を起こしてしまう場合もあります。 グループホームでは、認知症見当識障害のある入居者に合わせて、必要なケアやサポートを提供しています。また、医師や看護師が定期的に訪問し、経過観察や診察を行い、適切な医療サポートを提供することも求められています。 認知症見当識障害のある方々にとって、自立した生活を送るのは難しいかもしれませんが、グループホームでの生活によって、安心して暮らせる環境を提供することができます。スタッフ一同、入居者のQOL向上に向けて、全力でサポートしていきたいと考えています。
サポート方法としてのグループホーム
グループホームは、認知症高齢者など、生活支援を必要とする人々にとって、安心できる居場所として活用されています。その中でも、グループホームはサポート方法として、とても効果的な施設の1つです。 グループホームは、1人で生活することが困難な人々が、共同生活を送ることで、生活自立を支援することができます。また、生活支援だけでなく、心のケアやコミュニケーションの場としても役立ちます。例えば、誕生日会や季節の行事など、イベントを定期的に行うことで、利用者同士の交流を促進することができます。 さらに、グループホームは、地域との連携も重視しています。地域のボランティアや企業の協力を得て、各種イベントを開催したり、地域の施設を利用したりすることで、地域との交流を深めることができます。 グループホームは、入居者の様々なニーズに応えることができる施設であり、サポート方法として有効です。利用者にとっては、心身ともに充実した生活を送ることができ、家族にとっても、安心して生活を送ることができる場所です。
利用者の自立支援
グループホームにおいては、利用者の自立支援が大切なテーマの一つです。利用者本人の自己決定や自己表現を促し、個々の力を伸ばすことが目的となります。具体的には、利用者が自分で食事を用意したり、洗濯や掃除などの家事を行えるように支援することが大切です。また、外出や趣味活動などを通じた社会参加の促進も重要な目的の一つです。スタッフは、利用者ができることを最大限引き出すための適切な環境づくりや支援を行うことが求められます。利用者自身が主体的に自分の生活を選択できるように、個別支援計画の策定や見直しも定期的に行われます。自己決定や自己表現を尊重することで、利用者自身の自己実現や生活の質の向上につながることを目指しています。
多様な生活リズムに合わせた支援
グループホームは、認知症高齢者が、自分らしい生活を送ることができる場所として、ますます重要な役割を果たしています。しかし、一方で、入居者の生活リズムがまったく同じであるわけではありません。個人差があるため、支援する側もそのことを理解し、多様な生活リズムに合わせた支援を行うことが、グループホーム運営において求められます。 例えば、朝型の方には、早朝から運動や散歩、朝食の準備など、早い時間帯でもリズムに合わせた活動を提供することが大切です。また、夜型の方には、遅い時間帯に、読書やTV観賞などのリラックスできる時間を設けることで、自分らしく安心して過ごすことができるでしょう。ただ実際にはスタッフの人員状況でそこまでは提供することは難しいですが、個人差に合わせた支援が必要です。睡眠時間のバランスを整え、栄養バランスのとれた食事を提供することで、入居者の健康維持に貢献することができます。また、趣味や興味に合わせた活動やイベントを実施することで、入居者同士の交流を促し、生きがいや自分らしさを保つことも大切です。 グループホームは、入居者の多様な生活リズムに合わせた支援を提供することが、より良いサービス提供に繋がるでしょう。そして、入居者が自分らしい生活を送ることができる環境を実現することが、グループホームの役割であると言えます。
専門職と連携した医療的ケア
グループホームにおきましては、認知症高齢者が生活しており、それぞれの方に応じた医療的ケアが重要となります。そこで、医療専門職と連携した医療ケアの提供が求められます。医療専門職には、看護師や理学療法士、作業療法士、臨床栄養士などが含まれます。彼らは、それぞれ専門的な知識や技術を持っており、グループホームにおいて、安全で適切な医療ケアを提供することができます。例えば、褥瘡や口内炎の予防や対処法、診断や治療に必要な情報の提供、食事摂取量の管理やバイト便数のチェックなど、いろいろな面で医療専門職のアドバイスや支援が必要となることがあります。また、医療連携を行うことにより、安全性や効果性が高く、質の高い医療ケアが提供されるというメリットもあります。グループホームにおいても、医療的ケアは不可欠であり、医療専門職との連携を取り、より良い医療ケアの提供に努めることが求められます。